IEC61400-1:2019(以降は、ed.4と言います)では、風モデルが変更及び追加になりましたので、比較表を示します。
| 風条件 | Ed.3 | Ed.4 |
| 風速分布 | レイリー分布 | 同左 |
| 極値風速分布 | ガンベル分布 | ・ガンベル分布(変動係数15%以上の場合は補正) ・混合気候の場合、ガンベル分布(非台風時)、モンテカルロシミュレーション(台風時)を結合 |
| 乱流標準偏差分布 | 対数正規分布 | ワイブル分布 |
Ed.3とEd.4で、乱流標準偏差の分布の定義(NTM)は変わっていませんが、Irefの位置付け、乱流標準偏差の期待値及び標準偏差が変わりました(期待値が小さくなり、標準偏差が大きくなっています。Irefは、15m/sにおける乱流強度の期待値ではなく、約70%分位値となりました)。
次に、Ed.4における風条件評価をするパラメータとDLC(設計荷重条件)との対応及び風モデルについて、以下にまとめます。ここでは起動時、停止時、待機中のDLCについては、省略しています。
通常風条件と疲労荷重解析のDLCとの対応
| 通常風条件 | 設計荷重条件 | モデル |
| 風速分布 | DLC1.2 | レイリー分布 |
| 有効乱流標準偏差(有効乱流強度) | DLC1.2 | NTM |
| 気流傾斜角 | DLC1.2 | – |
| ウィンドシア | DLC1.2 | – |
| 空気密度 | DLC1.2 | – |
極値風条件と終極荷重解析のDLCとの対応
| 極値風条件 | 設計荷重条件 | モデル |
| 周囲乱流標準偏差(周囲乱流強度) | DLC1.1+極値事象の外挿 | NTM |
| 極値風速 | DLC6.1+DLC6.2 | EWM |
| 周囲極値乱流標準偏差 (周囲極値乱流強度) | DLC1.3 | ETM |
| 最大中心ウェイク乱流 | DLC1.3 または DLC1.6 | ETM |
【参考】
- IEC61400-1:2019
- IEC61400-1:2005
- Jae Sang Moon, et al, “On the Use of Site Data to Define Extreme Turbulence Conditions for Wind Turbine Design”, Journal of Solar Energy Engineering, Vo.136, 2014.
- 谷垣三之介, “NTM、ETM、Irefについて”, 日本風力エネルギー学会誌, Vol42, No.1, 2018.
- EMD WindPRO 3.5 User Manual: LOAD, 2021.
- WAT 4.6 Help.